
コーヒーは世界約70カ国、いわゆるコーヒーベルトで生産され、コーヒー農業に従事する労働者は2500万人以上といわれています。世界市場において、コーヒーの年間売上高は800億ドルを超えていて、国際的貿易商品の一つになっています。
一日当たりの消費量でみてみると、どのくらいになると思いますか?なんと約20億杯にものぼります。私たちの生活にどれだけなじみ深いものになっているかが、うかがい知れます。
コーヒーは農業である
コーヒーはどのようにできるのか?あまり意識することはないかもしれませんが、コーヒー豆は、コーヒーの木の“果実の種子”です。このコーヒーの実は、赤く熟すとサクランボのようになることから「コーヒー・チェリー」と呼ばれます。 この「コーヒー・チェリー」から取り出されたコーヒー豆ですが、私たちのもとにコーヒー豆として届けられるまでには、大きく6つの工程を辿ります。 「生産→収穫→精製(コーヒーの果実からコーヒー豆を取り出す)→焙煎→ブレンド→粉砕」コーヒーの生産地で行われるのは、精製までの工程です。この過程をみるとわかるように、コーヒーはまさに農業。たくさんの人の手を経て、私たちのもとへ届きます。おいしいコーヒーを作るためには、とても手間がかかる一般的にコーヒー栽培は、山岳地帯の傾斜地が多い土地で行われるため、手摘みでの収穫が多くなります。 また、山岳地帯に限らずとも、手摘みにこだわっている農園もあります。例えば、コナ・ルビーというコーヒーを販売している「山岸コーヒー農園」さん。ハワイ島ノース・コナ地区フアラライ山の裾野にある、日本人が経営するコーヒー農園です。日本で販売されているコーヒーの中で、農園主が自ら収穫をするコーヒーとして有名です。最高級品の産地のコナの中でも、もっとも高品質のコーヒーといわれています。

焙煎前にも手を抜かない
少し話はそれますが、焙煎の前にも、病気や虫食いの豆を排除するため、コーヒー豆1粒1粒、全て“人の手”で選り分けられます。この病気や虫食いの豆は、「欠点豆」と呼ばれます。欠点豆には、虫食いの他にも、中が空洞になっている貝殻豆やカビてしまった発酵豆といったものもあります。 焙煎前には、これらを一つ一つ取り除くのです。例えば、貝殻豆をそのまま焙煎すると、焙煎時に先に焦げてしまって、味にムラがでてきてしまいます。発酵豆も一粒入っているだけで、エグみや雑味の原因にもなります。ちなみに虫食い豆だけを集めてコーヒーを淹れると、びっくりするくらいエグくてまずいらしいです…。 おいしいコーヒーを飲むためには、最後まで手間をかけてあげる必要があるのですね。
- 参照記事
- コーヒーノキを家庭で栽培する方法について
見学できるコーヒー農園
現在は、見学できるコーヒー農園がいくつかあります。ハワイ島観光のスポットとしても有名ですので、機会があればぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?①ドトール・コーヒー直営農園
ドドール・コーヒー農園では、コナ・コーヒーの焙煎体験ができます。焙煎したコーヒーは、お持ち帰りも可能。農園ではコーヒーだけでなく、南国のフルーツの試食や植物の見学も楽しめます。② UCCコーヒー農園
日本を代表するコーヒー会社のUCC珈琲の直営農園です。コナ・コーヒーを試飲したり、限定のオリジナルグッズを購入することもできます。事前に予約が必要ですが、ツアーガイドさんとコーヒー農園、精製場所、コーヒーの焙煎体験なども見学できます。日本のコーヒー農園
日本は、アメリカ、ドイツに次いで世界第3位の輸入国で、コーヒー消費大国です。日本で飲まれている約99%は輸入で、残りの1%は、実は、日本で栽培しているんです。どこで栽培されているのか?それは、石垣島です。 日本にも“コーヒーベルト”に属する場所があり、それが石垣島なんです。石垣島は熱帯気候で、高地といえる場所はないものの、コーヒーの栽培に適した環境は揃っています。その中でも特に精力的に活動されているのは、「武田珈琲」さん。インターネットから購入も可能なので、興味がある方はぜひ。 私たちの生活を豊かにしてくれるコーヒーですが、一方で、その生産を行っているコーヒー農家に支払われる代価は低く、多くの農家が困窮し、農園を手放さなくてはならないという現実も存在しています。例えば、カフェでコーヒー一杯に支払った値段が350円。 その内、コーヒー農家の取り分は1%程度。しかしコーヒーの価格変動は激しく、一説によると0.1%になることもあります。いつまでもおいしいコーヒーを飲むためには…そんなことも考えつつ、興味を持っていただけたら幸いです。