
コーヒーは当然ながらコーヒー豆を焙煎してそれを抽出することで飲むことができるのですが、実はコーヒー豆を使わずにコーヒーを飲むことができます。厳密にはコーヒーに味を似せた飲み物なのですが、これを代用コーヒーと言います。
代用コーヒーにはコーヒー豆ではなくて、たんぽぽ、大豆、チコリなど普通では考えられない材料がコーヒーに使われます。今回はそんな代用コーヒーについて書いていこうと思います。
代用コーヒーとは何か?
代用コーヒーとはひとことで言うと、コーヒー豆以外の原料を使って作られたコーヒー風味の飲み物です。コーヒー豆以外の材料はいくつかあり、たんぽぽを使ったたんぽぽコーヒー、大豆を使った大豆コーヒー、チコリを使ったチコリコーヒーなどバラエティは多いです。 この代用コーヒーはもともと戦争などの理由でコーヒー豆が入手できなくなった時に、なんとか身近にある他の作物でコーヒーを代用できないかと模索してきた中で生まれました。コーヒー豆とは全く別の作物を利用しているのでカフェインが含まれていないのがポイントです。中には健康飲料として、コーヒーではなくてこの代用コーヒーをあえて飲んでいる人もいます。 他の代用コーヒーにもコーヒーと同様に苦味の成分が入っており、コーヒーの肝心な部分である苦味をうまく再現できているものもあります。しかし、コーヒー好きの中にはどうしても代用コーヒーの味には馴染めない人がたくさんいるのも事実です。
代用コーヒーが飲まれ始めた理由
コーヒーは栽培できるエリアが限られており、中南米、アジア、アフリカなどの一部の国でしか生産することができません。そのために実際にコーヒーを消費するヨーロッパや日本などはそれらの生産国からコーヒー豆を輸入する必要があるのです。 平常時はそれらの国から普通にコーヒー豆を輸入することができるのですが、戦争中などはコーヒー豆の輸入ができなくなることがあります。その際に本物のコーヒーに代わる代用コーヒーが飲まれ始めました。 コーヒーに全く変わって飲まれることもあれば、コーヒーに代用コーヒーを混ぜて飲まれることもあったようです。代用コーヒーが飲まれた国は多くあるのですが、その中でも特に有名なのがドイツです。ドイツ人はコーヒー好きで知られており、あまりにもコーヒー豆を輸入していたために外貨が流出してしましました。 そのためにコーヒー禁止令が出されて、一般市民はコーヒーを飲むことができなくなったのですが、その時に代用コーヒーが大活躍しました。コーヒー豆の代わりになる材料を模索し、今の代用コーヒーの基盤がこのタイミングで作られました。 日本でも実は第二次世界大戦中に貿易の制限を受けてコーヒー豆不足に陥りました。それでもお客さんにコーヒーを提供したいという強いを持ったカフェなどがたんぽぽなどを活用して代用コーヒーを提供しました。 このように、代用コーヒーはどちらかというとコーヒー豆がなくなったので必要に迫られて生み出されたコーヒーであると言えます。

比較的にポピュラーな代用コーヒー
たんぽぽコーヒー
たんぽぽコーヒーは日本でも戦時中に飲まれていたことで知られており、たんぽぽの根っこの部分を焙煎して挽いたものをお湯で抽出するというものです。健康に与える影響などから特に妊婦から人気があります。チコリコーヒー
チコリと聞いても何のことか分からない人が多いかと思いますが、チコリとはヨーロッパ原産のキク科の植物です。フランスは今でもチコリコーヒーが広く飲まれているそうです。どんぐりコーヒー
どんぐりコーヒーはアクが強い関係でそこまで人気ではありません。それでもどんぐりコーヒーは戦時中のドイツでコーヒーの代わりとして存在感を出していました。大豆コーヒー
大豆は健康食品として有名ですが、大豆コーヒーはそんな大豆を焙煎してコーヒーにしたものです。ダイエット効果や女性ホルモンを整える作用があるために、若い女性や妊婦から人気です。 他にも、とうもろこし、ゴボウ、ジャガイモ、大麦など代用コーヒーの材料になるものは意外にもたくさんあります。(というかなんでもかんでも焙煎して挽いて抽出したら代用コーヒーを名乗れる感じはありますw)代用コーヒーは健康飲料として飲まれ続けている
戦時中になかなかコーヒー豆が手に入らない際に、その代わりとして生まれた代用コーヒーですが、今ではコーヒー豆が手に入らないなんてことは少なくとも日本ではありません。 しかし、現在でも代用コーヒーはその健康面に与える好影響に着目されており、多くの人によって飲まれています。特にカフェインが全く入っていないものが多いので、コーヒーの飲みたい妊婦などから支持されています。このように代用コーヒーは21世紀でも飲まれ続けています。しかし、あくまで“代用”であることに違いはなく、コーヒー愛好家からはコーヒーの味には程遠いとして敬遠している人も多いです。 一長一短ある代用コーヒーですが、自分の好みや場面に合わせて飲み分けしてみると、よりコーヒーを楽しむことができるようになるかもしれません。
