
どんぐりコーヒーというものが存在することを聞いたことがある人は少ないのではないかと思います。どんぐりコーヒーは文字通りどんぐりで出来たコーヒーです。たんぽぽコーヒーやチコリコーヒーなど、他にもコーヒーの代用になるコーヒーはありますが、どんぐりコーヒーのその中の1つです。
リスじゃあるまいし、そもそもどんぐりって食べられるのかよと思う人も多いかと思いますが、調理方法に注意する必要はあるものの、どんぐりは意外にも栄養分のある食べ物だそうです。
あまり知られていないどんぐりコーヒーですが、実は意外に味も悪くなく、少し手間はかかるものの、ご家庭でも作ることができます。今回はそんなどんぐりコーヒーについて書いていこうと思います。
どんぐりコーヒーとは何か
どんぐりコーヒーとはひとことで言うと、どんぐりで作られたコーヒーです。コーヒーとは言うものの、別にコーヒー豆とどんぐりをブレンドしたりするわけではなく、どんぐりだけで作られています。 そのために、あくまで味がコーヒーに似ているためにどんぐりコーヒーと呼ばれています。冒頭でも軽く説明しましたが、コーヒー豆を使わずに味をコーヒーに似せている飲み物は他にも幾つかあります。 代表的なのが「たんぽぽコーヒー」ですが、これはたんぽぽを煮た汁で飲み物を作ることで、コーヒー豆を使わないコーヒー風味の飲み物になります。他にも植物の根を活用した「チコリコーヒー」など、コーヒー豆を使わない代用コーヒーは他にもいくつか存在します。 どんぐりコーヒーもその中の1つであり、どんぐりを加工してから煮た汁をとることで、コーヒー風味の飲み物を作ることができます。どんぐりコーヒーの歴史
どんぐりコーヒーが誕生した背景ですが、どんぐりコーヒーはどうしてもコーヒーが飲みたくても飲めなかったヨーロッパで必要に迫られて考案されて飲まれるようになりました。 どんぐりコーヒーの発祥はドイツであると言われています。18世紀にヨーロッパの国々がアジアやアフリカなどに植民地支配を拡大していた時に、ドイツも他のヨーロッパの国と同様に植民地支配を拡大していました。しかし、ドイツはコーヒー豆の栽培に適した国を支配下に置くことができず、ドイツ国内でコーヒーを飲むためには他国からコーヒー豆を輸入する必要がありました。当然輸入をすれば、代わりにお金を支払う必要があり、ドイツはコーヒーのために外貨が減少し、経済的に不利な状況になりました。 この状況を打破するために、ドイツは1777年にコーヒーの禁止令を出して、王室以外はコーヒーを焙煎することができなくなりました。つまり一般市民はコーヒーを飲むことが禁止されてしまったのです。 それでもなんとかコーヒーを飲みたいと考えた人々はコーヒーに変わる、味がコーヒーに似た飲み物を考案するようになり、その過程で誕生したのがどんぐりコーヒーだったわけです。 その後、ナポレオンが大陸封鎖令といってイギリスからの商品の輸入を禁止した際にもコーヒー豆不足となり、コーヒーの代わりにどんぐりコーヒーが広く飲まれました。第二次世界大戦中には日本でもどんぐりコーヒーが飲まれています。 このようにどんぐりコーヒーは戦争などの理由でコーヒー豆不足になった際に、どうしてもコーヒーを飲みたい人々によって代用コーヒーとして飲まれてきました。最近ではカフェインが入っていないために妊婦によって飲まれたり、どんぐりの栄養分を取るために健康に気を使う人たちによって飲まれています。

どんぐりコーヒーの栄養分
このように、もともとは戦時中などにコーヒーの代用として飲まれていたどんぐりコーヒーで菅、最近では健康に気を使う人たちがどんぐりの栄養分に着目してどんぐりコーヒーを飲んでいます。 リスじゃあるまいし、そもそもどんぐりは食べることができるのか疑問にもつ人もいるかと思いますが、どんぐりは昔から食事として食べられていたそうです。どんぐりは栄養に富んでおり、18%が脂肪、6%がたんぱく質、残りのほとんどが炭水化物になります。他にもアミノ酸、ビタミンA、ビタミンCを含んでいます。 一方で、どんぐりはタンニンやサポニンという成分も多く含んでいるためにアクがとても強いです。このアクを取るために手間をかけて加工する必要がありますが、何れにしても調理方法さえ気を使えば、どんぐりコーヒーは栄養価の高い飲み物といえるでしょう。どんぐりコーヒーの作り方
どんぐりコーヒーのレシピですが、なかなか手間のかかる作業になります。どんぐりコーヒーを1杯作るのに必要な材料は、どんぐり100gのみです。 どんぐりコーヒーの作り方としては、まずはどんぐりの選定です。道端で拾ったどんぐりは虫食いにあっているものなどが多く、そのような不良品を避ける必要があります。そのために水を入れた容器にどんぐりを入れて、浮いてきたどんぐりを全て取り除きます。 次にどんぐりの外殻を取り除きます。どんぐりの殻をトンカチなどで叩いてヒビを入れて、取り除いていきます。外枠を取り除いたら、そのどんぐりを包丁で3〜4等分に切り分けます。どんぐりを切ったら、次にアクを取り除くために、2時間ほど流水でどんぐりを水にさらします。どんぐりは非常にアクが強いので、この作業をサボると味がひどいことになります。 次にアクを抜いたコーヒーを乾かします。太陽の光でゆっくりと乾燥させるのが良いですが、ドライヤーで乾燥させても大丈夫です。乾燥が終わったら、フライパンで20分ほどどんぐりを炒めます。 この炒めるという作業はコーヒー豆でいうところの焙煎にあたり、色が付いてくるまで炒める必要があります。最後にコーヒーを挽くのと同じ要領でどんぐりをコーヒーミルで挽いてドリップしたら完成です。
どんぐりコーヒーの味はどうなのか
そんな作るのになかなか手間のかかるどんぐりコーヒーですが、味はひとことで言うと苦味がなくさっぱりとしています。以外にもクセがなく優しい味をしており、飲みやすいと言えます。当然あくまで“代用コーヒー”なので、コーヒーが本当に好きで味にこだわりがある人から見ると、味が受け入れられないこともあるかとは思いますが、そこまでコーヒーの味にこだわりがなければ、むしろ飲みやすいと言えるでしょう。 戦争中のコーヒー豆が手に入らない時代に、どうしてもコーヒーを飲みたいという人々によって考案されたどんぐりコーヒーですが、一度は試してみたですね。
