
「フレンチプレス」をご存知でしょうか。というより、見掛けたことがあるでしょうか。
私は幼い頃にテレビで、喫茶店が映し出された時にちょうどフレンチプレスでコーヒーを出していて「何だあれは」と思った記憶があります。思えば後にも先にもフレンチプレスをこの目で見たのはあの時だけです。
昨今ではコーヒー店の在り方も洗練され、中々見られなくなったフレンチプレス。一体どのような特徴があるのでしょうか。
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「手順」
1.豆をフレンチプレス(ポット)に入れる。
2.お湯を入れる。
3.蓋を閉め、4分待つ。
4.プランジャーを押し下げる。
5.カップに注ぐ。
これで完成です。とてもシンプルですよね。
ポイントはいくつかありまして、まず豆が粗挽きであること。一般的な電動ミルでも、最も粗い設定で良いと言われていますね。
豆の分量はカップ1杯(120~150ml)に対して7g程度が適量とされていますが、これは他の方法と同じように好みで前後してOKです。
ただ気をつけたいのが時間です。4分というのはどのメーカーでもピッタリと指定されていて、これを過ぎると非常に雑味の強いコーヒーが出来ます。注意が必要です。
またちょっとしたコツとして、ドリップでもそうするように、まずは3分の1程度のお湯を注いで30秒ほど待ってから残り全てを入れると、深い味わいになるようです。豆はお湯を注ぐとまずゆっくりと膨らみますから、少し時間を置くことは大事ですね。
出典:https://www.bodum.com/
フレンチプレスという名前について
フレンチプレスには色々な呼び方があります。 「コーヒープレス」…アメリカではこう呼ばれています、これは日本でも馴染んだ呼び方ですね。 「プランジャー」…オーストラリアやアフリカ地域では「プランジャー」と呼ばれています。プランジャーコーヒーという名前にもどこか覚えがありますね。 「カフェティエール」…これはフランスやイギリスなどで用いられています。フレンチプレスという呼び方がそれらの中でも一般的なのは、元々はフランスで考えられた抽出方法といわれているからですので、カフェティエールも正式名称の一つです。フレンチプレス・コーヒーとは
フレンチプレスはとてもシンプルな抽出方法です。 使用する器具は「フレンチプレス」と呼ばれるプレスポットこれのみです。 豆は必ず粗挽きで使いましょう。ドリップで使用するような細かさだとフィルターを通しても粉が残ってしまうので大変なこと(味)になります…。
フレンチプレスで淹れたコーヒーの特徴
ドリップで淹れたコーヒーに対して、フレンチプレスは豆の雑味や強い香りもそのまま残ります。ドリップという方法がそもそも紙や布でろ過しているわけなので、コーヒーの味と香りを飲みやすく「抑えている」と思って頂けると良いでしょう。 フレンチプレスは粗く挽いた豆をぎゅーっと押し込んですぐに完成するものなので、僅かながら粉も残りますし、豆の鮮度や特徴がもろに感じられるのです。ある意味では真のコーヒーですね。 コーヒー豆にも種類は多くありますし、またそのクラスも様々に分けられています。ですから高級であるもの、より鮮度の高いものなどはフレンチプレスで味わうのが贅沢な方法ですね。 ただ、手軽でありながら店頭などでは現在あまり好まれて使用されていないのは、やはり豆を選ぶということと、それでも出てくる雑味(本来の味わい)などがキツいと感じる方が多いからでしょうね。 ですが一工夫して、少し飲みやすくする方法もいくつかあり、フレンチプレスで淹れたコーヒーを一度、ドリップ用のペーパーに落としてろ過するというものもあります。何だか本末転倒のようですが…、雑味や強い苦味が緩和されて飲みやすくなりますので一度試してみると面白いかもしれません。フレンチプレスの歴史
その方法がシンプルであることから、コーヒー抽出方法としては古いと思われがちですが、実はフレンチプレスの歴史は百年足らずと短いのです。 特許を取得されたのは1929年、イタリア人のデザイナー「アッティリオ・カリマーニ」に申請されました。これ、不思議ですよね。フレンチプレスですからフランス人ではないのかと。 これには説がいくつかあり、流行し始めたのが第二次大戦後のフランス・パリだったためという説と、使用されるプランジャーポットがフランスで開発されたものだったためという説があります。どちらにしろ、国によって呼び方が異なっているという現状ですね。 アッティリオによって定められたフレンチプレスという手法、これに「ファリエロ・ボンダニーニ」がデザインの改良を加え、またそれの特許を取得します。この方も名前からしてイタリア人と思われますね。 段々とルーツがカオス化してきます。ファリエロによって改良されたフレンチプレスは、フランスにある工場で生産を開始し、イギリスの企業と、デンマークの企業「ボダム」によってヨーロッパに広がっていきます。 この時期がちょうど大戦後の経済成長期にあたるのです。 若干話題が逸れますが…、「エスプレッソ」は忙しく働くイタリア人が急いで淹れて飲むコーヒーから名付けられたもの(エクスプレスに因む)ですが、フレンチプレスもまたその手軽さから多忙な人に愛用された経緯があります。ポット一つ持っていれば良いのですから、ドリップやサイフォンと違い、いつでも自分のコーヒーを楽しむことが出来るのですね。日本では元々、紅茶の器具として広まった?!
日本で広まった経緯はまたちょっと変わっています。昭和の後期頃に、紅茶の抽出器具として用いられたため、当時は「紅茶の器具でコーヒーを淹れる」のがコーヒープレスとされていたのです。紅茶に関してはコーヒーよりも強い香りや雑味が出る心配は少ないため、メーカーが紅茶用にと広めたのです。 その後、実はコーヒー用ですよと認知され、喫茶店でもフレンチプレスは用いられるようになりました。昭和から平成の初期頃まではよく見られた光景といわれていますね。
フレンチプレス器具メーカー「ボダム」って?
コーヒーの器具というと、日本では「ハリオ」「メリタ」の二択というイメージですよね。「ハリオ」は国内メーカー、「メリタ」はドイツのメーカーです。 フレンチプレスに関しては上記したように「ボダム」というメーカーがあり、とても有名です。ボダムは元々食器などのメーカーでしたが、フレンチプレスの流行と共にヨーロッパ中で知られることとなりました。 ボダムがオススメしているのが「トラベルプレス」という商品です。その名の通り、旅行先や外出先でも挽き立てのコーヒーが飲めるというものですね。コーヒーを好きになればなるほど、ペットボトルや缶、インスタントでは満足出来ません。とにかく香りが違いますからね。 またトラベルプレスは、飲み口が付いており、タンブラー代わりになります。 これを持っていれば、粗挽きの豆とお湯でいつでも最高のコーヒーが飲めるというわけです。