
美味しいコーヒーを飲むための取り組みはコーヒーに関わるいろんな人たちが行っています。美味しくするために焙煎方法を工夫したり、抽出する器具を変えてみたり、今までに数多くの工夫がされてきました。
コーヒー大手であるキーコーヒーもこれまでに数多くの開発をしてきましたが、今回はコーヒー豆の精選方法という、今までとは全く違った角度から美味しいコーヒーを飲むための技術革新をしたそうです。
一般的には、収穫後の品質変化が著しいコーヒーチェリーはいち早く脱肉・精選するのが普通ですが、キーコーヒーではコーヒーの美味しさを追求するために、コーヒーチェリーを食品が凍る直前の温度帯である氷温域で貯蔵し、コーヒーチェリーを“追熟”することでコーヒー業界に新しい流れを持ち込もうとしています。
氷温熟成することで、「高鮮度保持化」「高品質化」「有害微生物の減少化」が起こり、食品素材の持つ本来の美味しさを引き出すことができると言われています。
今まで抽出方法や焙煎方法については様々な改善がコーヒー業界ではされてきましたが、精選方法に対してここまで大胆に改善の手を加えた例はあまりなく、コーヒー業界に新しい風を吹き込むものとして期待されています。
この問題を解決するために、キーコーヒーではWCRとの協業で国際品種栽培試験という活動を行っています。この活動は世界各地の様々な条件下で気候変動や病害虫への耐性を持つ、より優れた品種の発掘が行われています。
このようにコーヒーに対して生産のはじめの段階から深く関り、コーヒーに対する情熱を持っているキーコーヒーだからこそ精選方法の開発という発想が出てきたのです。コーヒー豆をただコーヒー農家から買っているだけでは、そもそもこの発想を持つことは難しいでしょう。
このように、コーヒー豆の生産の最初の段階から関わっているキーコーヒーだからこそコーヒー農園に大型の設備投資を行い、精選方法の開発という手段を取ることができたのです。
ちなみに美味しいコーヒーを飲むために今までとは別の角度で挑戦してできた「KEY Post-Harvest Processing」ですが、9/26〜9/28、で東京ビッグサイトにて開催予定されているSCAJで実際に飲んでみることができるそうです。
SCAJは日本のコーヒー業界におけるもっとも大きなイベントで、コーヒー業界のありとあらゆる人と交流することができますが、美味しいキーコーヒーのコーヒーを飲むために足を運んでみるのも良いかもしれません。
キーコーヒーは大衆向けコーヒーではなかった
私がもともとキーコーヒーについて感じていたイメージは、街の喫茶店の看板に書かれたロゴマークのイメージでした。普段働いているオフィスでもキーコーヒーのインスタントコーヒーが毎日出されることもあり、何と無くキーコーヒーというと大衆向けコーヒーのイメージを持っていました。
しかし、今回の「KEY Post-Harvest Processing」やトラジャ トラジャのことを知っていく中で、決してキーコーヒーは大衆向けコーヒーではなく、コーヒー豆の一粒一粒を大切に育てて品質にはかなりのこだわりを持ち、何よりコーヒーにとても情熱的なんだなと感じました。
少しリッチな気分になりたいときには「KEY Post-Harvest Processing」で精選されたスペシャリティコーヒーを飲んでみたいですね。
コーヒーチェリーを氷温熟成させる新精選技術を開発
美味しいコーヒーを飲むための技術革新は昔からずっと続いてきました。コーヒー豆の生産地における栽培方法の改善、焙煎方法の改善、抽出方法の改善。1杯の美味しいコーヒーを飲むために数多くあるプロセスのあらゆる部分で改善が続けられ、現在のコーヒーを楽しむスタイルが出来上がりました。 キーコーヒーも長い歴史の中で美味しいコーヒーを飲むためにあらゆる技術革新を行ってきましたが、今回コーヒーチェリーを氷温熟成させる「KEY Post-Harvest Processing」と呼ばれる技術を新たに開発したそうです。
なぜキーコーヒーはこの技術を開発することができたのか
「KEY Post-Harvest Processing」による氷温熟成がキーコーヒーから生まれたのには理由があります。この精選方法の開発の裏には、キーコーヒーのコーヒー農園での取り組みが大きく影響しています。 コーヒー農園から普通にコーヒー豆の買い付けをしていたのでは、そもそも精選方法に工夫をしようという発想は生まれません。 また、キーコーヒーではコーヒー農園が抱える問題を解決するために日頃から社会貢献活動をしています。 コーヒー業界では「2050年問題」と呼ばれる問題が存在しています。これは地球温暖化によってコーヒー豆の中でも高くて美味しいと言われているアラビカ種の栽培適地が50%まで減少するというものです。
コーヒーへの情熱が集結したトアルコ・トラジャ
キーコーヒーが「KEY Post-Harvest Processing」を生み出したもう一つのきっかけとしてトアルコ トラジャというコーヒー豆があります。 トアルコ トラジャとはインドネシアのスラウェシ島のコーヒー豆なのですが、第二次世界大戦によりコーヒー農園が荒廃し、一度はその姿を消しました。しかし、たまたま一握りのトアルコ トラジャがキーコーヒーに持ち込まれていざ飲んでみたらめちゃくちゃ美味しかったという理由で、なんとかしてトアルコ トラジャを復活させようということになりました。 しかし、一度は姿を消したコーヒー豆を復活させることはそう簡単なことではありません。そもそもコーヒー農園への道路がないので、道路を作るところから進める必要があります。道路ができたらコーヒー農園でトアルコ トラジャの生産を進めますが、そもそもコーヒーはすぐに育つものでもないので、何年もかけて少しずつ改善を続けてトアルコ トラジャは復活しました。