
何年か前からブルーボトルコーヒーなどの影響で日本のコーヒー業界にもサードウェーブが到来した!と言われたり、スペシャルティコーヒーが流行ったりしています。それに伴いコーヒーの品質は大きく向上しました。
しかしコーヒーの品質にこだわっているのは何もそれら意識高い系のお店だけではありません。例えばファミレスの「びっくりドンキー」も「ローソン」のコンビニコーヒーも“シングルオリジンコーヒー”というものを打ち出しています。
スペシャルティコーヒーとシングルオリジンコーヒーの間には深い関係があり、両者は切っても切り離せない関係にあります。今回はそんなシングルオリジンコーヒー(シングルエステートコーヒー)について書いていこうと思います。
シングルオリジンコーヒーとは何か
「シングルオリジンコーヒー」とはひとことで言うと、1つのエリアのみで採れたコーヒー豆のみを使ったコーヒーを指します。厳密にはその“1つのエリアのみ”という定義がアバウトです。 1つのエリアが、1つの地域一帯を指すこともあれば、1つの農場のみを指すこともあるためです。シングルオリジンコーヒー(=Single Origin Coffee)という言葉の意味は、1つのエリアで採れたコーヒー豆という意味です。 シングルオリジンコーヒーに比べて、通常のコーヒーは「ブレンドコーヒー」と呼ばれ、いくつかのエリアで採れたコーヒー豆を混ぜてブレンドしていることが多いです。コーヒー豆をブレンドする理由はいくつかあります。いくつかの産地のコーヒー豆を混ぜ合わせることで、それぞれの地域のコーヒー豆が持つ特徴を活かすことが主な理由ですが、供給を安定させたり、品質の低いロブスタ種のコーヒー豆を少し混ぜたりと、下向きの理由もあります。

シングルエステートコーヒーとは何か
シングルオリジンコーヒーに似たもので「シングルエステートコーヒー」というものもあります。これはシングルオリジンコーヒーとほとんど同じ意味なのですが、先ほどの“1つのエリア”の部分をより厳密に定義しています。 シングルエステートコーヒーの場合には1つのコーヒー農園で採れたコーヒー豆のみを使用しています。シングルエステートコーヒー(=Single Estate Coffee)という言葉の意味は、1つの農園でのみ採れたコーヒー豆という意味です。 実際には栽培されているコーヒー農園だけではなく、コーヒー生豆を精製する設備なども単一のコーヒー農園で加工されています。このようにシングルエステートコーヒーはシングルオリジンコーヒーの定義をより明確にしたものと言えます。マイクロロットコーヒーとは何か
よく耳にするのはシングルオリジンコーヒーとエングルエステートコーヒーですが、最近になって「マイクロロットコーヒー」という言葉も注目されています。マイクロロットコーヒーとはシングルエステートのコーヒーをより細かく定義したものです。 マイクロロットコーヒーでは、1つのコーヒー農園の中でもさらにどの部分の農地で採れたのか、収穫時期はいつなのか、栽培地の標高はどれくらいか、日照量はどれくらいか、などかなり細かく分類されます。なぜシングルオリジンコーヒーが注目されているのか
これらのシングルオリジンコーヒーなど特定のエリアで栽培されたコーヒー豆のみを使用する重要性が高まっている背景には、スペシャルティコーヒーがコーヒー業界で流行っていることがあります。 数年前にブルーボトルコーヒーが日本に黒船来襲的な感じで上陸し、サードウェーブコーヒーが大きく注目されました。サードウェーブコーヒーでは、1杯のコーヒーのクオリティがかなり上がっています。 コーヒーのクオリティを上げるために、コーヒー豆の産地に強いこだわりがあり、焙煎方法などもコーヒー豆の種類によって使い分けます。万人受けする大量生産的なコーヒーを提供するのではなく、コーヒーの個性を重要視します。 コーヒー豆の個性を重要視して、1杯のコーヒーにオリジナリティを持たせるために、コーヒー豆の生産地を信頼できる特定のエリアに絞ることが必要であり、それを実現するのがシングルオリジンコーヒーだったわけです。 シングルオリジンコーヒーでは栽培されたコーヒー農園ならではの独特の風味を感じることができ、誰がどこで栽培したのか分かるので、品種や精製方法などについても確実に分かります。 シングルオリジンコーヒーでしっかりと管理されたコーヒー豆は品質にブレが少ないことも大きなメリットです。このような理由からスペシャルティコーヒーを提供するカフェなどではシングルオリジンコーヒーが重要視されています。 全く同じ味のコーヒーを大量生産するチェーン店から、1つ1つのコーヒー豆の個性を生かした多様的なコーヒーに移りつつあるのかもしれません。そしてその時代の変遷を支えているのが、シングルオリジンコーヒーなのです。